逆転写 reverse transcription

逆転写の意味わかりますか?

そんな難しいことではありません。ササッと説明します。

転写:DNA→RNA

逆転写:RNA→DNA

以上です。

DNAを鋳型にしてRNAを作る工程を転写と呼び、RNAポリメラーゼという酵素によって行われます。

反対にRNAを鋳型にしてDNAを作る工程を逆転写と呼び、逆転写酵素 reverse transcriptaseと呼ばれる酵素によって行われます。

実は1970年までは逆転写という現象は知られていませんでした。遺伝情報はDNAからRNAに変換され、その逆の現象は起こることはないと信じられていました。この考え方をセントラルドグマといいます。ですから逆転写の発見は驚くべきものでした。それまで信じられていたセントラルドグマは一部間違っていたわけです。

逆転写酵素は始めレトロウイルスから単離されました。

レトロウイルスはRNAウイルスに分類されます。RNAウイルスとは遺伝情報をRNAの形で持っているウイルスのことです。

レトロウイルスは細胞の中に入ると、自前の逆転写酵素を使って遺伝情報であるRNAからDNAを作ります。そしてそのDNAをインテグラーゼという、これまた自前の酵素を使って細胞のゲノムに組み込んでしまいます。

この段階で、感染細胞は組み込まれたDNAをもとに新たなレトロウイルスを自ら量産するようになります。そうして生まれたレトロウイルスはさらに別の細胞に感染をし、どんどん広がっていきます。