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ケーブル理論① ~有髄線維と無髄線維どちらが速いか~

神経細胞の細胞膜の微小領域で起こった膜電位変化はその近傍の膜へ順々に伝わっていき、その影響は最終的に神経細胞全体に及びます。それはまるで水面に水滴が落ち、波が同心円状に広がっていくかのようです。以下では、神経軸索上を膜電位変化が伝わっていく様子を定量的に考えていきます。

下図は神経軸索の模式図です。神経軸索を等価回路に書き換えるために軸索を短軸方向に分割して、微小かつ同一な空間が多数連なっている状況を考えます(分割線は均等に見えませんが均等だと考えてください)。分割された一つ一つの円柱を区画と呼ぶことにします。

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 等価回路を下図のように考えました。細胞外電位を0(基準)にするので接地されている部分は細胞外です。一区画あたりの細胞膜はコンダクタンスΔg、膜容量ΔCとします。また、V_Nはあるイオンの平衡電位です。そして隣合う区画の間に発生する抵抗をΔR_iとします。軸索の長軸方向にx軸を取り、細胞内を長軸方向に流れる電流をi(x)とします。基準点における細胞内の電位をV_oとし、基準点からx離れた位置における細胞内の電位をV(x)と置きます。よってV(0)=V_oです。

(注) 細胞に電気的な入力が何もない場合細胞の膜電位は細胞のどの部分も同じ値(静止膜電位)を取りますが、シナプス入力などの入力が一か所に入るとその部分だけ膜のイオン透過性が変化するので膜電位が変わります。基準点とはそのような場所を想定しています。 (注終わり)

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この場合

\begin{align} \frac{dV(x)}{dx} = - \frac{\Delta R_i}{\Delta x} i(x)\end{align}

\begin{align} \frac{di(x)}{dx}=-\frac{\Delta g}{\Delta x} {V(x) - V_N}\end{align}

が成り立ちます。ここで、

\begin{align} \Delta g =g \pi d \Delta x, \Delta R_i =\frac{\rho \Delta x}{\pi d^ {2}/4}, \Delta C = C \pi d \Delta x \end{align}

であるので、

\begin{align} \frac{d^2V(x)}{dx^2} = \frac{1}{\lambda}{V(x)-V_N}\end{align}

\begin{align} (ただし、\lambda = \sqrt{\frac{d}{4 \rho g}}) \end{align}

\begin{align} V(x) = (V_o - V_N) e^{-x/\lambda}+V_N\end{align}

となります。よって神経軸索の膜電位変化は基準点を最大として、指数関数的に減少していくことが分かりました。

では有髄線維と無髄線維の違い考えてみましょう。 有髄線維とは神経軸索が髄鞘という絶縁体でコーティーングされた神経線維ですからこの違いは、

\begin{align} g \to 0 (\lambda \to \infty) \end{align}

と表されます。これは基準点からの距離に応じた電位の減衰が極限まで少なく抑えらえるということを表しています(下のグラフは参考までに)。

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神経軸索上のある一点(基準点)で電位変化が起こった場合、そこから距離のある別の一点における膜電位は髄鞘のあるかないかで大きく違います。

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